「なんとなく」歌っていませんか?
自作の曲を歌うときは、もちろん、伝えたいことが明確なはずですが、
既存の曲を歌うとき、「なんとなく」歌っていませんか?
なんとなく好きで、
カラオケに行って、流れてくる伴奏に乗って、画面に出てくる歌詞を
なんとなく歌っていませんか?
歌詞を味わう。理解する。景色を見る。
以前に、生徒さんが歌いたいと言って持ってきた曲の歌詞をみて、
私が、
「この曲って、失恋の歌だけど…、」
と私が話し始めると、生徒さんがキョトンとなって、
「この曲、なんの曲ですか?」
その生徒さんは、自分が好きな曲で、歌いたい、と思っているのに、
歌詞の内容については、全く意識を向けていなかったようです。
私自身は、ミュージカルの経験もあり、歌詞の理解は習慣となっています。
歌詞の理解なしで歌うなんて、あり得ません。
でも、他の生徒にも尋ねてみると、やはり歌詞の内容について理解していない人は
多いことがわかりました。
「え、だいたい、こんな感じですよね?」
と答える人にも、深く聞いてみると、歌うにあたって、こう表現したい、などの
プランがないことが多いようです。
サウンドがかっこいいとか、アーティストが素敵とか、好きになる要素は色々あるでしょう。
でも、もし、自分が歌ってみたいなら、歌詞に耳を傾けてみましょう。
どんな景色が見えますか?

ワーク・単語を色鉛筆で塗り分ける

まず歌詞を手書きで書いて、
単語ごとに、感じるイメージの色で塗っていく。
と言う作業をお勧めします。
1単語1単語、じっくり観察し、受け取るものを色で塗り、
完成したら、歌詞全体を眺めるのです。
中には色で表しづらい言葉もあるので、できるところからで大丈夫。
イラストが得意な方は、場面ごとにイラストを描いていくのもおすすめ。
正解はありません。感じようと努力し、感じたままに手を動かしてください。
この作業の中で、言葉の1つ1つに、
温度
重さ
方向
距離
時間
感情
などが含まれることがわかってきます。
これらは、目に見えるものではありませんが、
イメージすることはできます。
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歌詞理解の道筋の例
例えば、歌詞に「星」(よく出てくる!)という言葉があるとします。
「月」や「星」はもれなく上の方向、しかも遠いところにありますね。
この「星」の意味は、「憧れ」の象徴か?
この歌の主人公にとって、この「憧れ」は、手に入るものなのか、そうでないのか?
憧れに向かって、前に進む強さを歌声で現すのがいいのか、
手に入らない切なさを表現する方がいいのか…、
など。
このように考えていくと、
「なんとなく」な歌から一歩ステップアップできます。
もしかしたら、
「この歌詞って、表向きはすごく可愛い感じだけど、深く読むと、実は怖くない!?」
など、歌詞の中に巧妙に隠されたものを見つけることができるかもしれません。
慣れないうちは面倒かもしれませんが、だんだん、このように考えることが楽しくなってきます。
そして、「私ならこんな風に歌いたい」というプランが生まれるはず。
そのプランに良い発声や歌唱テクニックが伴っていけば、あなたが既存の曲を歌うとき、
「カラオケ」から「カヴァー」に昇格するかもしれませんね。

まとめ
歌詞を読もう。
色分けしてみよう。
深く考え、イメージし、1つの曲に対しての理解を深めよう。
あなたなりの解釈を見つけられたなら、あなたもアーティスト。